朝起きるとマニフィカ号は今にも降り出しそうな曇天のアドリア海を進んでいました。今回のクルーズも今日が最終寄港地です。明日の朝には1週間前に乗船したヴェネチアに戻って下船することになります。それにしてもクルーズは予想外に快適な旅でした。何しろドラえもんの「どこでもドア」のように、朝起きると違う国の違う港に降り立ってそぞろ歩けてしまうわけです。まさに動くホテル。部屋の中はチェックイン以来の取っ散らかり様です(笑)
さて今日はイタリア半島からアドリア海を挟んで対岸にあたるクロアチアのドブロブニクにやってきました。ここも地中海貿易の中継地点として古くから栄えた城塞都市です。旧ユーゴスラビアから独立する際、1991~1992年に掛けてのクロアチア紛争、1992~1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、その後1999年まで続いたコソボ紛争では世界遺産である旧市街まで戦火が及んだのだといいます。日本ではニュースでしか聞いたことなかったけど、イタリア半島のすぐ近くのこんなところで10年近くも戦争が起こっていたんですねぇ。
今日の入港時間は12:30。皆んな寝坊しているのか、朝のレストランはガラガラです。のんびりしてて最高だわ(^^)
天気:雨のち曇り、気温:17~19℃、海況:ややウネリ、風向:南、風力:3、日出・6:36 日入・16:26、月齢:12.9、ドレスコード:インフォーマル
入港:12:30、出港:17:00
昨日の下船説明会で聞いたように、今朝は8:00から下船後のドブロブニク行きのバスチケットが販売されます。購入とバスの出発順は早い者勝ちなので、さっさと朝食を済ませて5階のツアーデスクに向かいます。さすが我々も行列慣れした(嫌いだけど)日本人の端くれです。30分前にはまだ誰も来ていません。そして15分前になるとやや行列慣れした西洋人のオバちゃんもやって来ました。見たか、大和魂を!(笑)
時間丁度になると珍しく時間通りにスタッフが出てきてチケット販売が始まりました。この頃には行列も50人くらいになってます。前回、エクスカーションのチケットを買ったときには何を言ってるかさっぱりわからない英語でまくし立てられたので、今日はこちらから一方的に喋ります。
僕:「ドブロブニク行のバスのチケットを下さい」
ネーちゃん:「ハウマッチ?」
・・・(それは俺のセリフだろ!アンタはハウメニーじゃ(笑))
僕:「トゥープリーズ!」
こんなのは船の中では日常茶飯事です。各国語ごった煮状態の環境に1週間も暮らしていると言葉のコンプレックスは殆どなくなります。殆ど誰も英語は話さないので英語が出来なくてもあまり困りません。もちろんイタリア語やドイツ語はもっとわからないけど、アメリカ圏で感じる「自分だけが英語がわからなくて取り残されてる」感がないのは、ヨーロッパのいいところかも知れません。困るのは単語を知らないことだけです。単語さえわかれば何語でも大抵の会話は通じそうです。明治時代の日本人もこうやって言葉を覚えていったに違いありません。TOEICは無理だけど、辞書さえあればどこの国に行っても何とかなるかもね。哲学の話をするわけじゃないし(笑)
チケットが手に入ればあとは入港までダラダラ。せっかくなので持ってきた「るるぶ・ドブロブニク編」で予習します。昨日のマミさんの話によればバスは旧市街西側のピレ門前の広場に到着するらしいので、大体のルートをシミュレーションします。最初に門から旧市街の中に入って「世界ふれあい街歩き」にも出てきた泉を見てから、世界一古いと言われている薬局を見物。そのまま大通りを奥まで歩いて青空市場を物色。その後、城壁に登って街を一周するプランです。
で、入港は12:00、出港は17:00なので問題はお昼ご飯(笑) 旧市街で食べてもいいんだけど、そうすると散策する時間が短くなっちゃいます。やっぱり早昼を食べてから行くか。
しばらくすると洋上からドブロブニクの城壁が見えてきました。思いの外小さな街です。ローマ帝国の時代にはこの港にも沢山の貿易船がやって来ていたのでしょうか。当時はどんな航海だったんでしょうねぇ。相変わらずどんよりと雨雲が垂れ込めて時折雨粒も落ちてきます。今回の旅行で初めての雨になりました。
マニフィカ号は一旦ドブロブニクの沖合を通りすぎてから街の北側にある岬を廻って大型船用の桟橋に横付けしました。細長い入江の両側は切り立った山になっており、小さな峠を超えた反対側がドブロブニクの旧市街地です。接岸を待って船を降り番号順に並んだバスに向かいますが、急に雨が強くなってきたので猛ダッシュ。こんなこともあろうかと(出発前はこんな天気ばかりだと思っていた)雨合羽を着込んでいて良かったわ。全員が乗り込んだところでバスは出発。坂道を登って降りて15分ほどで旧市街入口のピレ門(地図の左中あたりの②)前に到着です。帰りのバスもこの場所から随時出ているとのことなので、あとは勝手歩きに出かけます。
目の前の城門から旧市街地に入ると、そこはテレビ番組で見たのと全く同じ街並みが広がっています。うほほーい! それにしてもホントに小さな街です。門を入ってメインストリートを通って反対側の門まで200mもないくらい。長さは多分マニフィカ号の方が大きいです(笑) 小じんまりと箱庭のようにぎっしりと詰め込まれた積木細工のような建物の間には細い路地が縦横に巡らされていて、ちょっと裏通りに足を踏み込むだけでも異国情緒たっぷりです。ただこの街は海岸線とそこに張り出していた半島に囲まれた湾を埋立て作った街なので、メイン通りは平らで真っ直ぐなのですが脇道に入った途端に急な階段が待ち受けています。その上段差が大きいの!(苦笑)
なのでとりあえず階段はやめて平地を歩きます。濡れた石畳の道はツルツル滑るのでかなり危険です。街の反対側の門から城壁の外に出てみるとそこが港でした。小さなボートがいっぱい泊まっていますが、昔の貿易船はこの港に入ったのでしょうか。
港はそこで行き止まりになってしまうので(というか港から全てが始まってるんだけど)城壁の中に戻って裏路地を攻めてみることにします。
ドブロブニクという街は海に突き出た細長い半島と本土の間の湾を埋立て作られた街なんだそうです。半島の中心には小高い丘があり本土側も山なので、湾になっていた旧市街の中心にあるプラツァ通りというメインストリートが一番低く、その両側に広がる市街地は山の傾斜地に建っています。だからメインストリートから路地に入ると必ず階段になります。この階段が結構急峻で大変です(^^; はふぅ~。
メインストリートから1本裏に入った路地にはレストランやカフェが沢山並んでいました。雨降って肌寒かったのにガイジンさんたちは平気で外でワイン飲んでスパゲティなんか食べてます。かなり気になったんだけど、なんせ時間がないので後ろ髪を引かれながら路地裏探検に向かいました。もっともお昼を食べた直後だからお腹も空いてなかったんだけどね。
せっかくなので路地をどんどん登って行くと外周の城壁のすぐ下までやってきました。畑にはオレンジやレモンがあります。これも世界街歩きに出てきたような風景です。でも天気が悪いので誰も外に出てきてないねぇ。急な階段を登り続けて汗もかくけど、振り返ればドブロブニク旧市街地のオレンジ色の家並みが綺麗です。その向こうには城壁の途中に作られた要塞がそびえています。疲れも吹き飛ぶ美しさやね。
さすがに疲れたのでここらで一度メインストリートまで下ります。大聖堂の建物に併設されている「世界で3番目に古い」と言われる薬局を見てから城壁の上に上がってみることにしました。
城壁に上がるには70kn(クーナ:クロアチアの通貨)の入場料が掛かります。城壁に上がる階段の近くにチケット売り場がありました。でもクーナは持っていないのでユーロで支払います。1ユーロが7.5kn位なので10ユーロ、1,100円位です。ちなみにこの時期は最終の入場時間が16:00までなので「最後にちょっと上がってみればいいや」なんて思ってると残念なことになりかねません。
城壁の上はさすがに高さがあって旧市街の街並みが一望できます。せっかくなので最初に一番高い要塞に行ってみようと思ったら…、一方通行になってるじゃんか(^^; ピレ門のすぐ脇の階段から登ったので時計回りに進めばすぐに要塞なんだけど、階段を登り切ったところには「左に進め!」という看板が…。げげーっなんて言ってたらガイジンさんに「ダメダメ~(笑)」と笑われちゃいました。仕方が無いので「順路」どおりに反時計回りで進みます城塞の上は結構狭いところもあって人がすれ違えない所もあります。だから一方通行なんだねぇ~と納得。ドブロブニク旧市街の対岸にあるロヴリイェナツ要塞を望むところで記念写真。この要塞の入口には”金を積んでも自由は買えない”という文字が刻まれた壁があるんだとか。19世紀にナポレオンにドブロブニクが攻め落とされたときに、時のドブロブニクの総督が残した言葉と言われています。それだけドブロブニクは住民の自由を尊重した都市だったんだそうです。感慨深いですねぇ。
右の断崖越しにアドリア海、左にドブロブニクの街を眺めながら進むと学校らしき建物が見えてきました。バスケットボールのコートが街並みに似合わずビビッドやねぇ(笑) 海に向いた要塞には大砲もあります。天気が悪かったせいか年寄りの観光客が多いせいか、城壁の上には殆ど人がいません。夢のような世界遺産です。そう言えばこの街は”アドリア海の真珠”とも言われ、宮崎アニメ「魔女の宅急便」のモデルになった街だと言われているらしいけど、魔女の宅急便よりもラピュタのヘンテコなロボットが出てくる庭に似てるんだよね。きっと宮崎駿はこの庭を見てラピュタをイメージしたに違いないと思ってしまうのでした。
城壁の上で一人でポプリを売ってるオバちゃんがいました。とってもいい香りがしたのでお土産用にまとめてお買い上げ。クロアチアはハーブオイルが名産なんだよね。旧港の上を通って山側にさしかかると城壁の上の道も再び上り坂と階段になります。運動になる街ですねぇ(笑) 先程までシトシト降っていた雨も上がって薄日も差してきました。オレンジ色の屋根が太陽の光を浴びて鮮やかに輝いています。もうすぐ頂上の要塞です。
やっと頂上に到着! 約1時間の工程でした。ここからは街が一望できます。階段はちょっと大変だけどドブロブニクに来たら是非見ておきたい風景です。ちょっと忙しかったけど歩きまわって楽しかったワン。城壁から降りる階段の下は門が閉まってます。ええーっ!と思ったけど内側からはすんなり開きました。もう営業時間が終わっちゃったのね。
ピレ門前の広場にはMSCの看板を付けた観光バスが待っていました。コレに乗って桟橋に戻ります。船に戻ってラウンジでダラダラしていると西の空が真っ赤になっていました。明日はいい天気になりそうですね、ドブロブニクは(笑) ジントニックを飲みながら終りに近づいたこのクルーズの思い出に耽ります。明日の朝はヴェネツィアに入港です。晴れるといいね。
ドブロブニクからベネチア(イタリア)までの距離:309海里
撮影器材:Panasonic FT1、Canon 30D + Tokina 10-17 Fisheye
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